受験英語でもおなじみの”can’t help doing”ですが、これを機械的に「doせざるを得ない」と覚えているだけでは間違った場面で使ってしまう可能性があります。
自分の思いとは裏はら
まず、正しい例文から見ましょう。
ex) I can’t help laughing whenever I hear the story.
「その話を聞くたびに笑いがこみあげてきます」
「その話を聞くといつも笑ってしまう⇒笑わざるを得ない」という意味で、”can’t help doing”を使っても問題のない文章です。
もう一つ見てみましょう。
ex) I couldn’t help overhearing you.
「ついお話を立ち聞きしてしまいました」
これも「思わずお話を聞いてしまった⇒聞かざるを得なかった」という感じで、正しい文章です。
このように”can’t help doing”は自分でコントロールができない無意識下で行われてしまう行為を言うときに使う表現です。
つまり、自分の思いとは裏腹に「つい / 思わず~してしまう⇒せざるを得ない」という考え方です。
ですから以下のような文章で”can’t help doing”を使うととても不自然です。
× I couldn’t help going to the office on foot because my car had been broken.
「車が故障していたので歩いて会社へ行かざるを得なかった」
日本語では「~せざるを得なかった」という表現がピッタリでも、この場合は車が壊れているという客観的な事実によって「せざるを得ない」という状況です。
ですので、“自分でコントロールできない”というニュアンスを持つ”can’t help doing”を使うのは非常に不自然です。
「車が故障していたので、思わず歩いて会社へ行かざるを得なかった」??
なんておかしいですよね(笑)
つまり、日本語にとらわれて英文を作ろうとすると、このような不自然な英文を作ってしまうという典型例です。
頭を柔軟に
では、上のような、客観的な事情により「~せざるを得ない」と言いたいときにはどうしたらいいのでしょうか?
上記のケースのように「(ある行動を)せざるを得ない」と言いたいときは”have no choice but to do”などが有名です。
ex) I had no choice but to go to the office on foot because my car had been broken.
もっと柔軟でシンプルに考えると…
「~せざるを得ない」とは、つまり「~しなくてはいけない」に言い換えられますよね。
ex) I had to go to the office on foot because my car had been broken.
「車が故障していたので歩いて会社へ行かなくてはいけなかった」
というように、シンプルに”have to”を使えば済んでしまいます。
何度も言いますが、日本語にとらわれてしまうと身動きが取れなくなります。
このように、深く考えず、持っている知識を総動員すれば、案外何でも言えてしまいます。
それには、シンプルな表現に発想を転換する訓練が必要です。
言いたいことをいかに噛み砕いて、シンプルに表現できるか……
それが語学上達へのヒントです。