英文法のルールの中でも比較的有名な(?)ものの中の一つに次のようなものがあります。
「未来の話でも ‘if’ や ‘when’ など時と条件を表す副詞節は現在形で」
例文で確認しましょう。
ex) I’ll phone you when I get home.
「帰宅したら電話しますね」
このお話は未来の行動についてのお話です。
「電話する」のも「帰宅する」もの、これからのお話ですよね。
しかし、帰宅するのはこれから後にもかかわらず、「帰宅したら」に当たる ‘when I get home’ は未来形ではなく現在形です。
「帰宅するのはこれからなんだから ‘when I will get home’ では?」
いいえ、これは”時を表す副詞節”に当たるので、そのような場合は現在形で表す、という英文法のルールがあるのです。
何故に現在形?
そもそもなぜ現在形になるのでしょうか?
雑学としてその成り立ちをご紹介します。
(興味のない方は飛ばしても一向に構いません、笑)
その起源はシェークスピアにあると言われています。
シェイクスピアの喜劇の最高傑作といわれる『Twelfth Night(十二夜)』にある有名な一節があります。
If music be the food of love, play on
和訳は「音楽の調べが恋の糧になるものなら、そのまま奏し続けるがよい」です。
この ”if 節”は正に「条件を表す副詞節」です。
この動詞に注目してください。
「be動詞」ですね。
つまり原型です。
これは「もし~ならば~だろう」という仮定法現在に当たります。
これ自体はかなる古めかしい表現で今はほとんど使われない用法です。
そしてこれこそが「 ‘if’ や ‘when’ など時と条件を表す副詞節は現在形」の名残なのです!
もともとは原型だったものが、言葉の変遷の中で ‘If he is’ や ‘If it is’ などのようにより自然な「現在形」に変化してきたのです。
言葉は常に変化・進化するもの。
もしかしたら、今後、「未来のお話なんだからwillで」となる可能性もないわけではないでしょうね(笑)
条件の if 節では主語の意思を表すwillも
さて、やっと本題です(笑)
とはいえ、「時と条件の副詞節」の中に ‘will’ が来るケースも多々あるのです。
ex) If you will help me, I’ll be happy.
「力を貸してくれるのなら嬉しい」
はい、この「if 節」は「条件の副詞節」ですね。
「もし~なら」という「条件」を述べています。
にもかかわらず ‘will’ が登場しています。
何故か…?
この副詞節は「主語の意志」について述べています。
「あなたに助けようとする意志があるなら」、つまり主語の意思を問うという含意があります。
‘will’ は「100%する!」という非常に強い意志・パワーを持った助動詞です。
(’will’ に関しては↓↓の記事をご覧ください!)
例文のように、相手の意思を条件にする内容のケースでは、「時と条件の副詞節」であっても ‘will’ は登場するのです。
つまり、ここでの ‘will’ は「これから先の話」のためのもではなく、あくまでも「主語の意志」を問うためのものです。
そして大事なのは、この場合の主語は “you” に限ります。
いくつか例文で確認しましょう。
ex) If you will take the initiative, everyone will follow suit.
「あなたが主導してくれるなら、みんな従いますよ」
ex) If you will lend me ¥10,000, I’ll pay it back with 10% interest by the end of this week.
「1万円貸してくれたら、今週末までに10%増しで返します」
このように、主語が “you” の時に限り、「~する気があるなら」という意味合いで “will” が使われることがあります。
ただし、実際の英語では、この場合においても “will” を入れないことの方が圧倒的に多いので、この知識は忘れてもいいかもしれませんが、どこかで出会った時に「あれ?」と思わないためにも、頭の片隅に置いておいてください。
ちなみに、もし会話においてこの “will” を使う場合、それであると分からせるために強勢が置かれることが多いです。