今回はリクエストの多かった”would”と”used to”の比較をやってみたいと思います。
この2つを混同して、使い分けできていない人も多いようです。
すごーく簡単なんですよ!
主観か客観か
まずは大枠を定義します。
“would”は「主観的」
“used to”は「客観的」
これが大前提です。
この違いはそれぞれの意味にも反映されます。
まずは”would”から見てみましょう。
“would”は「昔はよく~したもんだなぁ」という、昔を回想する気持ちが込められています。
その背後には「意図・意思」があり、「自ら進んで~した」というニュアンスが色濃く表れます。
つまり「主観的」なのですね。
例文で見てみましょう。
ex) On summer evenings, I would sit out in the garden.
「夏の夕方、庭でよく座っていたもんだよ」
これが”would”の基本的な使い方です。
ex) When we worked in the same office, we would often have coffee together.
「同じオフィスにいた時、僕たちはよく一緒にお茶したよね」
この例文のように、「昔はよく~したもんだなぁ」という意味で”would”を使う場合、仮定法と取られないように”often”を併用するケースもよくあります。
次に”used to”です。
こちらは”would”とは違い「意思」は全く含まず、「かつてはそういう事実があったが、今は違うよ」という含意があり、単に過去と現在の対比を客観的に描写します。
ex) I used to smoke two packs a day, but now I’ve quit.
「かつては一日2箱のタバコを吸っていたが、今はもう辞めたよ」
この場合は、過去の単なる事実を淡々と言っているだけで、何の主観もありません。
つまり「客観的」なのです。
後半の”but now I’ve quit”は特になくても、前半だけで「今はしてないけど」という含意があります。
ex) There used to be volcanoes all over the face of the earth.
「以前は地球の全表面は火山に覆われていた」
こちらも客観的な過去の事実を淡々と述べているだけです。
「主観」は一切は介入していませんね。
“would”は「法助動詞」
ところで、皆さんは「法助動詞」という概念をご存知でしょうか?
“would”などの助動詞については「法」という概念を知ればその核心が見えてきます。
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詳細は上記記事に譲りますが、will/may/can/could/mustなどの純粋な助動詞を「法助動詞」と呼びます。
今回の”would”もそうです。
「法」とは英語では”mood”です。
日本語では「気持ち」ですね。
つまり、これらの助動詞には人の「話者の気持ち」が乗っかっています。
ですから「主観的」なのです。
これらの助動詞を使いこなせれば、人間の機微を的確に表せるようになるんですね!
一方、”used to”は単なる「法助動詞」の代用表現になります。
「法」、つまり「気持ち」とは一切関係ありません。
代用表現なので「気持ち」が入り込む余地はない…つまり客観的なのですね!
「法助動詞」の代用表現には、他に”have to”や”be going to”などがあります。
「法助動詞」である”must”は主観的、「法助動詞」ではない”have to”は客観的、という使い分けも同様に理解できます。
ちょっと例外を…
言葉にはいつも例外がつきもの。
今回の”would”に関しても、「”would”は”live”などの状態動詞には使えない」という制約を語る文法書などもありますが、実用英語では以下も許容されます。
ex) I would live across from the post office 10 years ago.
「10年前に郵便局の向かいに住んでいた(でも今は住んでいない)」
これは単に「住んでいた」という客観的な事実を淡々と述べているにすぎませんが”would”が使われています。
基本から言えば”used to”のはずですが、このように”10 years ago”などの「過去を表す副詞的要素」があれば”would”でも大丈夫です。
(複数のネイティブ確認済み)
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