ただでさえ日本人にとっては難しい冠詞。
関係詞節の先行詞になる名詞には、”a”が付くのか? それとも”the”が付くのか?
今回はその考え方を完全にマスターしちゃいましょう!
まず、以下の文を見てください。
× I live in the town which has some fantastic parks.
先行詞は “town”ですが、定冠詞 “the” が付いていますね…
結論から言うと、これは間違い。
何故でしょう…?
関係詞節に修飾された名詞は全て”the” でいいのか??
例文のように、「関係詞節で後ろから修飾される名詞はとにかく”the”だ!」という認識の日本人は多いと思います。
つまり、関係詞節の内容に「限定」されるので”the”になる、という発想です。
その発想、今日限りで捨ててください!
先行詞に “a” がつくのか “the” がつくのかは、文章の意味、つまり発話者の意図によって決まるのです。
関係詞節が続くものは何でもかんでも “the” だ!ということでは決してありません。
“a”は「いくつかあるうちの一つ」”the”は「唯一」
まず、大前提として不定冠詞 “a” と 定冠詞 “the” の根本的な意味を押さえましょう。
“a” は「いくつかあるうちの一つ」
“the” は「唯一」
これは揺るぎのない大根幹として押さえてください。
これを踏まえて、今一度先ほどの例文を見ると…
× I live in the town which has some fantastic parks.
“the town” にしてしまうと「素晴らしい公園がいくつかある”唯一の”町」という意味になってしまいます。
特に問題はないのでは?と思う方もいるかもしれませんが、ちょっと待ってください!
素晴らしい公園がある町は世界中に他にもありますよね?
「その町が唯一」ではないはずです。
そう、つまり「素晴らしい公園がいくつかある町の中の一つ」というのが発話者の意図のはずです。
ですから正しくは “a town” になるはずです。
ex) I live in a town which has some fantastic parks.
「私は素晴らしい公園がいくつかある町の中の一つに住んでいます」
いくつか例文を見て行けば、その使い分けが分かってくると思います。
ex) I bought a new car that is very fast.
「とても速い新車を買った」
これを “the car” にしてしまうと、とても速い車はその車だけ…という意味になってしまいます。速い車は世界に数えきれないほどありますよね。
ex) I’m looking for a secretary who can use a computer well.
「コンピュータに精通した秘書を探しています」
コンピューターに精通した秘書は唯一一人だけではないはずです。
ex) The police arrested a man that Jill worked with.
「警察はジルの同僚の一人を逮捕した」
普通に考えれば、ジルの同僚は他にもいるはずです。
「同僚の中の一人」を逮捕したということですね。
ただし、仮に2人だけの会社でジル以外にはもう一人しかいない場合は、”the man” も可能です。
ex) The house that belongs to Julie is in London.
「ジュリーの家はロンドンにあります」
普通に考えれば持ち家は一人一軒ですよね。
ex) We went to the village Lucy recommended.
「私たちはルーシーが薦めてくれた村へ行った」
ルーシーが薦めてくれた村は限定できるので “the” です。
ここまでで、だんだんと感じがつかめてきたと思います。
最後に、おさらいを兼ねて問題です。
次の2文、正しいのはどちらでしょう?
ex) The bike I loved was stolen.
ex) A bike I loved was stolen.
正解は…どちらもあり得ます。
上の “the bike” の場合は、発話者が「唯一」好きだった自転車です。
下の “a bike” の場合は、いくつか自転車を持っていて、そのどれもが好きだったが、「その内の一台」が盗まれたという含意があります。
以上のように、先行詞につく冠詞は、発話者が意図するところによるのです。
もっと冠詞を!という方には…
もっと冠詞についての知識を深めたい!という方には書籍『aとtheの底力』を自信を持ってお勧めします!
今まであやふやだった冠詞を、かなりの自信を持って扱えるようになること請け合いです。