「受験の英語なんて実際の会話に役には立たない……」
「学校英語と会話の英語は全く違うもの……」
みなさんもこんな意見何度か聞いたことがあるかもしれません。
(実際にご自身でもそう思っていらっしゃる方もいるかもしれませんね)
この賛否・真偽はさておき、実際はどうなのでしょうか?
問題作成者の好み(?)
まず、大学受験用に学ばなくてはいけない英語項目の中には、実際のネイティブの日常会話ではほとんど使われることのないものもあります。
これは認めざるを得ない事実です。
例をあげると、受験英語の定番である「関係代名詞」において、それを顕著に物語るものがあります。
わたしたちは人を先行詞にした目的格の関係代名詞として”whom”を習いますね。
例えば、「彼は私がピアノレッスンを受けている男性です」を関係代名詞を使って表す場合、受験英語で求める模範解答は次になるでしょう。
ex) He is the man whom I take piano lessons from.
先行詞が人の時の目的格の”whom”を使った模範解答です。
問題作成者はこの”whom”が欲しいんですよ!(笑)
そして、さらなるポイントは「前置詞”from”をちゃんと後ろに残しているか?」です。
まさに受験英語っぽいでしょ?(笑)
さらに、デキる受験生は次のような英文も作るでしょう。
ex) He is the man from whom I take piano lessons.
出ましたぁ~”from whom”ですよー!(笑)
これを見た問題作成者はもう大喜びでしょうね(笑)
実際の“生きた英語”では……
この英文を知り合いのネイティブ(イギリス人)に見せたところ「僕はまず言わない」とあっさりと言われてしまいました。
“posh”に響くと言っていました。
(ちなみに、イギリス人はこの”posh”という表現が大好きです。意味は「気取った、金持ちを装った」という感じです)
では、日常の英語ではどうなのかと聞くと、彼は次のような2パターンが自然だと言っていました。
ex) He is the man who I take piano lessons from.
ex) He is the man I take piano lessons from.
つまり、目的格”whom”は現代実用英語ではほぼ使われず”who”に、さらに目的格の場合はその”who”さえも省かれて関係代名詞はナシになるということですね。
ですから、日常英語では一番最後のパターンで話されるということです。
もちろん、これは普通の文法書でも触れられていることですが、あくまでも補足程度の説明になっているものがほとんどです。
しかし、依然として”whom”を学ばなくてはならない日本の学校英語……
無駄にはならない
ここからは、完全に私の私見になります。
以上のような事例だけを見て拙速に「だから受験英語は無駄なんだ」というのは少し違うと思います。
「受験英語を下手に学んだから、実用的な英語が出来ない」ということは絶対にありえません。
しかし「受験英語をしっかりやったおかげで、実用的な英語もできるようになった」という例はたくさんあります。
つまり、活かすも殺すも本人次第ということです。
実際に、先ほどの”whom”だって、少し難しめの書籍などでは普通に使われています。
ということは、むしろ知っていないと本が読めない……ということになってしまいます。
英語の書籍や雑誌を読むことも“実用英語”ですよね?
であるならば、「会話で使わない」という理由だけで覚えることを拒否するのはもったいないと思います。
知識はいくら持っていても無駄にはなりません。
「あ、そういう表現方法もあるんだな」
という程度でいいので頭の片隅に置いておくのは、得こそあれ損はないと思いますがいかがでしょうか?