今回は以前にも何度か採りあげている仮定法の応用です。
(以下2記事参照ください)
仮定法 – イントロダクション
「法」のお話し② – 仮定法
仮定法は「事実とは反対の願望や仮定」を表現しますが、実際の会話ではとても頻繁に登場します。
日本語でも普段の会話で「あの時~だったらね」とか「あ~あ、お金があればなぁ」とか日常的にいいますよね(笑)
“If節”はないけど仮定法
英語・日本語問わず、頻繁に使われている仮定法ですが、実際の使われ方は私たちが習った仮定法とは少し違うケースが多いです。
以下の文をご覧ください。
ex) I could buy the car.
この英文をみなさんはどう解釈しますか?
助動詞”can”の過去形の”could”だから「私はその車を“買うことが出来た”」かな……なんて考えてはNGです!
これこそズバリ仮定法過去の文章です。
仮定法過去のパターンを思い出してください。
(「仮定法過去は”過去”を意味しない!」参照)
If + 主語 + 動詞の過去~, 主語 + 助動詞の過去 + 動詞~.
ですね。
前半を”If節”、後半を“帰結節”などと呼びますが、先ほどの例文はまさにこの仮定法過去の帰結節のパターンと一致します。
“主語 + 助動詞の過去 + 動詞~.”=I could buy the car.
普通ネイティブがこの英文を見たり聞いたりしたときには、ほぼ100%の確率で”If節”が省略された仮定法と解釈します。
では、どんな”If節”が省略されているのでしょうか?
それは、話の前後の文脈で適当に補ってやります。
今回のケースでは、車の話をしている流れで「あ~あ、その車買えたらな~」と言っているはずです。
ですから、あえて”If節”を補うとすれば、こんなケースになるのではなでしょうか?
ex) If I had money, I could buy the car.
「もしお金があれば、その車を買うのになぁ」
話の流れ次第で”If節”の中身は変わりますが、帰結節の意味はこれしかありません。
つまり話の流れであえて”If節”をいう必要がない時は言わない!ということですね。
“could”と”would”を見たら仮定法だと思え!
もう一つ例文を。
ex) I would be a millionaire.
これも”would”が決め手となり、普通のネイティブは仮定法として解釈します。
“If節”を補ってみると……
ex) If I bought a lottery, I would be a millionaire.
「もし宝くじを買っていたら、億万長者になっているだろうに」
いたって普通の仮定法過去の文章です。
これも話の流れで明らかな場合は、わざわざ“If節”なんて言いません!
帰結節だけで十分です。
もちろん仮定法過去完了も
最後にもう一つ……
ex) She would have passed the exam.
これはどう解釈しますか?
“would have p.p.”を見てゾッとする人も多いと思います(笑)
でも何も恐れる必要等ありません!
これは仮定法過去完了の帰結節で、過去においての願望や仮定を言っているのです。
仮定法過去完了のパターンは以下です。
(「過去における仮定・後悔は仮定法過去完了!」参照)
If + 主語 + had p.p.~, 主語 + 助動詞の過去 + have p.p.~.
やはり先ほどの例文と帰結節のパターンは一致しますね。
これも“If節”を補ってやると……
ex) If she had studied, she would have passed the exam.
「もし勉強していたら、彼女は試験に受かっただろうに」
こんな感じになります。
実際の会話においては、わたしたちが学校で習うような模範的な仮定法の文章はあまりないと思っておいた方がいいでしょう。
とにかく“could”と”would”を見たら、まずは仮定法を疑ってみましょう!