日本語と違い、英語は時制にとても厳密な言語です。
「現在」と名のつくものだけでも、現在形、現在進行形、現在完了形、現在完了進行形と4種類もあります!
さらに「過去」そして「未来」と名のつくものにも、それぞれ4種類ずつあるので、全部で12種類にもなります。
それだけの種類をネイティブは使い分けているのですね!
時制に厳しい
ですからネイティブは時制にとても敏感です。
それを象徴するエピソードがあります。
例えば、外出しようと玄関で靴を履いている状況を想定してください。
その時に家の電話が鳴りました。
それを日本語で描写すると次のようになると思います。
「家を出る前に電話が鳴った」
さまざまな表現があると思いますが、概ねこんな感じでしょう。
ところが、来日数年で日本語が少し話せるようになってきたアメリカ人は次のように言いました。
「家を“出た前”に電話が鳴った」
さて、「家を“出た前”」とはどういうことでしょう?
私たち日本語のネイティブにとっては、明らかに不自然に響きますよね?
時制の一致
この話の時制は「過去」ですね。
英語には“時制の一致”というものがあり、例外も多々ありますが、主節(ここでは「電話が鳴った」)が過去時制になった時には、従属節(ここでは「家を出る前に」)の動詞も過去形(もしくは過去完了形)にしなくてはいけないルールになっています。
つまり話し全体の時制は「過去」なので、このアメリカ人は“時制の一致”に基づいて「家を“出た前”」にしてしまったのですね。
まさに、時制に厳密なネイティブならではのエピソードですね!
それにしても、こうしてみると日本語はつくづく楽だな~と感じてしまいますよね(笑)。
「昨日、駅に着く前に友達にあったよ」などはいたって自然な日本語ですが、こうして英語の“時制の一致”を吟味した後で考えてみると、ネイティブが「駅に“着いた前に”」とう発想をするのも無理はないんだなぁと思います(笑)