日本人にとって今一つ使いこなせない時制の一つが過去完了です。
そんな過去完了時制の、あまり知られていないけど便利な使い方をご紹介しましょう。
過去のまた過去
そもそも過去完了時制は、「過去のある時点での出来事よりさらに前に起きた出来事」を表す時に使うのが一番基本になるでしょう。
ex) When I arrived at the party, Paul had already left.
「私がパーティーに着いたときには、すでにポールは帰っていました」
「私がパーティーに着いた」時よりも、「ポールが帰った」時の方が時系列的に前ですよね。
つまり、その2つの出来事は同時に起こったわけではなく、時間的なズレがあります。
今回のような“過去”と“そのまた過去”のズレを表す時に過去完了が使われるのです。
その際、時系列的に古い方に過去完了を使ってあげるのです。
(今回の例では「ポールが帰った」方ですね)
これを“過去のまた過去”ということで「大過去」なんで呼んだりもしますね。
残念な気持ちを表せる
さて、過去完了にはあまり知られていない意外な使い方があります。
まずは次の英文をご覧ください。
ex) Tom had wanted to be a lawyer.
この意味分かりますか?
want / hope / expect / intend のような「期待」や「願望」を表す動詞が過去完了形で使われると、それが過去において実現されなかったことを意味するのです。
つまり、何かを欲したり、望んだり、期待したり、意図したりしたのですが、残念ながらそれが実現することはなかった……という意味になるのです。
ですからこの英文意味は「トムは弁護士になりたかったんだけどね……」になります。
つまりトムは弁護士にはなれなかったんですね。
これは以下の英文とは明らかに意味が違うことを確認しましょう。
ex) Tom wanted to be a lawyer.
これは単純過去の文章ですが、この文は単に「トムは弁護士になることを望んだ」という過去の事実しか意味していません。
つまり、トムが弁護士になったかならなかったのかは不明です。
しかし、先ほどのように過去完了で言った場合は、明らかにトムは弁護士にはなれなかった……という意味になるのです。
もう一つ例文を。
ex) We had expected the concert to be wonderful.
「私たちはコンサートが素晴らしいものだと期待していたのですが……」
実際は期待よりもよくなかった……という思いが伝わってきます。
いやー、時制ってホントに奥が深いですね(笑)