今回は「まるで~のように」を表す”as if / as though”についてお話します。
ある程度英語を勉強されている方ならご存知の表現だと思いますが、その使い方に見られる共通した間違いがあります。
“as if / as though”節は仮定法だけではない!
結論から言いますと、「”as if / as though”節は仮定法で」という認識の方が非常に多いです。
確かに、文法書では仮定法の項目に出ているケースもありますし、実際に仮定法が来ることもあります。
そして、一番多いのが、「”if”があるから仮定法!」という安直な勘違いです…。
私の生徒さんでも、”if”を見ると何でもかんでも「仮定法」だと思い込む人が多いです(笑)
“if”自体は条件を表す単なる接続詞で、「”if”があるから仮定法だ!」ということではありません。
その文章が仮定法かどうかを決めるのは、そこで使われている動詞の時制で判断します。
詳しくは↓↓で詳しく説明していますのでご一読ください。
普通に直説法も来ます
さて、では実際に例文を使ってみていきましょう。
ex) Tom looks as if he is rich.
ex) Tom looks as if he were(was) rich.
違いは”as if”の後ろの節内の動詞の時制のみです。
最初の文章の”is”は直説法。
次の文章の”were(was)”が仮定法です。
どちらも日本語に訳せば「トムはお金持ちに見える」になり、直説法なのか仮定法なのかという違いが出ませんが、英語では意味が異なります。
では、改めてそれぞれの文章を吟味してみましょう。
ex) Tom looks as if he is rich.
こちらは直説法なので、「トムがお金持ちだという可能性」があります。
「お金持ち」という雰囲気があると言っています。
つまり、“as if”以下の可能性がありうる、(事実とは関係なく)そのような感じだ、と言いたいときには、このように直説法で言います。
ex) Tom looks as if he were(was) rich.
一方、仮定法の文章であるこちらの場合は、「トムはお金持ちではない」という事実が前提です。
トムは明らかにお金持ちではありません。
仮定法は「現実とは反対のことを」を表すので、「トムはお金持ちではない」けども「あたかもそのように見える」と言いたい場合には仮定法を使うのです。
つまり、仮定法を使ったこの文章には「でもトムはお金持ちではない」という含意があります。
他の例文でも確認しましょう。
ex) He speaks English as if he is a native English speaker.
「彼はまるでネイティヴのように英語を話す」
これは直説法で、事実はどうあれ「ネイティヴのように話す」ということだけを言っています。
ex) Mary treats me as if I were her servant.
「マリーはまるで召使であるかのように私を扱う」
こちらは仮定法です。
「私はマリーの召使いではない」のですね。
いかがでしたか?
“if”があるから仮定法だ!という早合点はいけませんよ(笑)